ヒルサイド・ストラングラー:丘の上の絞殺魔

いやはや、「ヒルサイド・ストラングラー:丘の上の絞殺魔」であるが、いくら、犯罪に関係する映画を見続けるのを目標としているとは言え、これはひどい。

アメリカ、カリフォルニアで現実に起こった、連続猟奇殺人事件を再構築したこの映画は、見るのにしんどい映画だ。「70年代に15人もの女性をレイプ、拷問の末殺害した、従兄弟同士の殺人鬼ビアンキとブオノ。米国犯罪史上、最も悪名高い“ヒルサイド・ストラングラー事件”を完全映画化!」と言うのが、配給会社の売り文句。そして、DVDパッケージの写真も相当ひどい猟奇殺人映画を象徴的に示している。途中で見るのをやめようかと何度も思ったが、最後まで見てしまった。ある程度、意味のあることかもしれないと思ったので。

これは、反面教師のような「教育映画」である。警官になることを望みながら、警備員をしたりして、定職に就けず、30歳を超え未だままっ子で、「ニート」のブオノ。(ブオノは、やっぱりニートなんだよな。社会的引きこもりではない。ゲーマーでも無い。もちろん1970年代なんだから、ゲーム機がそれほど普及はしていない。)甘えている母親にいやいや説得され、新しい機会を求めて新しい場所へ、ロサンジェルスで車内装飾を職業とする従兄弟の家に居候することになる。ここでも、警官の採用面接を受けるが、成功するようには思えない。それ以外は無為徒食の生活で、ビアンキの家から追い出され、アパートを探す。

彼らはそれぞれ、生まれてからの家庭環境は良くないようだ。これが、この映画を教育映画だと私が言っている理由だが。暴力、不倫、離婚、飲酒癖、などなどが育った家庭内にあまねく存在していた。それが、成長期の男二人に影響を与えたのだろう。それが、このような、15人もの女性をレイプ・拷問・絞殺したんだと、この映画は言いたいのだろう。

それ以外にも色々の要因はあるだろう。たとえば、若い女性を騙し、女性紹介の仕事を始めるが、顧客名簿を300ドルもの高値で横流しした娼婦に騙されて、この商売も失敗。これからが復讐劇の始まりである。(不思議にこの用心棒の男たちは、二人を痛い目には遭わせないのだ。)この娼婦を始め、別の2~3名の娼婦を同じ手口で、レイプ・絞殺し、死体を捨てる。ロス市警は、娼婦が2~3名殺害されようが、その調査には乗り気でない。そこで、いい気になった二人は、この殺人を一般の女性にも広げてゆく。ブオノは、弱気な男、ビアンキはどこまでも強烈なパンチを与える男。この二人のタッグマッチでこの猟奇殺人は続いてゆく。これに使われるのが、偽の警察手帳である。これで、駐車違反をした女性を誘拐して、簡単に自分の家に連れてゆき、同じ手口で殺害する。

段々、同様手口の事件件数が増え、一般の女性が絡みだして初めて、ロス市警は捜査に動き出す。まあ、遅いと言えば遅い。日本と変わらぬと言えばその通り。しかし、このように、ちょっと道を踏み外して育った男二人がこのような猟奇殺人を繰り返すその心情は、ほとんど分からない。このところの分析は無い。この頃に、ビアンキの母親の飲酒癖やら種々な悪行が暴露されてゆくのだが。

ロスで初めてアパートで最初に出会った女性とつき合い始め、妊娠させる。しかし、この女性は、ブオノの異様な行動に不信を抱き、自分の故郷に帰り、子供を出産し育てようとする。しかし、ブオノはあくまでも彼女につきまとい、犯行を繰り返すが、最後には、素人の女性の殺害をしはじめ、証拠隠滅などの手段も全く取らない犯行に、やすやすと警官に踏み込まれて逮捕される。ブオノとのつながりから、ビアンキも逮捕されるが、彼らは死刑ではなく、終身刑を下される。

まあ、何とも悲しい映画であるが、これは誰を非難する映画なんだろうか? 出遅れて捜査に乗り出した警察? 家庭内の不和や不倫、暴力などの養育環境? 本人の意思の弱さや、生まれ育った環境が育てたゆがんだ性格? やすやすと誘惑に引っ掛かる女性達? 偽の警察手帳で簡単に自宅に誘拐される女性達。自分たちさえ安心であれば、誰が殺されようと、無関心なロスの市民達? 少なくとも、一般家庭に侵入しての犯行ではなく、市街地を自動車で通行している人たちが被害者になる、その簡単な事件設定。これは実話に基づくものらしいので、これが現実なんだろう。そして、その結果が15名の被害者女性達だ。

考えさせられる映画であるが、余り、見たい映画ではない。お勧めは、このような教育映画を自分の研究を著すのに使用しようとしている、犯罪学者、または、社会科学の研究者かな? 1970年代のことだからもうすでにその分析は終了しているだろうが。少なくとも1事例として役立つだろう。

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